駐車場の土間勾配は、現場ごとに最適な勾配を考慮する必要があります。
具体的には、全面道路の傾斜や駐車場の奥行き、配管の深さなど、様々な条件を考慮しつつ、日常的な使いやすさを最優先に考えて最適な勾配を設定します。
ただし、理想的な勾配を設定することができない場合もあり、その場合は現場の条件に合わせて最適な勾配を決定する必要があります。
勾配を設定することも、実は意外と難しい作業の一つです。与えられた条件の中で、バランスをとって最適解を探っていく感じです。
横浜市は特に、坂が多いので勾配設定で悩むことも多く、バランス感覚が鍛えられている気がしています(笑)
どうしても必要な勾配を取るのが難しい場合には、砂利敷きのスリットを広めに設定したり、ドライテック(透水性舗装)という選択肢もありますので、ご相談ください。
ドライテックの施工事例です↓
土間打ちの事前準備のひとつに、マス調整という重要な作業があります。
これは地中に埋まっている雨水や汚水の配管を点検するためのマスで、水道屋さんが埋設したものです。
水道屋さんはこの配管を高めに立ち上げた状態で、外構屋さんに引き継ぐのが一般的です。
なぜなら、土間の仕上がり高さは外構屋さんが最終的に設定するし、責任をもって仕上げる役目だからです。
というわけで、水道屋さんの配管作業の延長みたいな、「ついで仕事」みたいに思われがちなこの作業なんですが、この作業の精度が土間仕上げの美しさにモロ影響するのです。
特に、画像のように複数のマスが集中している場所は、細心の注意を払って確実にキメていくことが必要です。一つひとつの作業に丁寧さを持って取り組むことが、最終的な仕上がりの美しさにつながります。
立ち上がった配管自体が下がる場合もあるので、調整する前にそれ以上下がらないところまでしっかり体重をかけておくこともめちゃくちゃ重要です。
調整後に乗ったら下がってしまう、では意味がありませんからね。土間打ち作業の仕上げ段階ではマスに乗って表面を鏝で押さえることはよくあるからです。
真っ直ぐな角材などで、いろんな方向でピッタリ合うように確認しながら調整します。
職人によってやり方は多少違いますが、接着剤はやり直しが効かないので使わずに三方向からビスで固定するのが合理的なようです。
全部踏んづけても動かないようにしておけば理想的です。
コンクリート打設直後と、翌日の写真です。マス調整がピッタリ完璧だからこそ、コンクリートの“面”も真っ平らに仕上げることができるわけです。
量水器(水道メーター)も、水道配管が動かせる範囲で、理想的な高さに調整します。
仕上がり高さから大幅に違う場合は、水道屋さんに配管から再調整してもらう場合もあります。
外構工事の土間打ちでは、「鋤取り(すきとり)」という作業があります。
この作業は、施工前の土地の高さから最終的なコンクリート仕上がり面の高さまでの差により、土の量が余る場合にはその土を残土処分場に持ち込んで処分する必要があります。これが鋤取り作業と呼ばれるものです。
一般的に、住宅の駐車場のコンクリート工事では、厚さ10センチの設計がよく用いられます。コンクリート仕上げる前の段階では、地面に砕石を約5センチ敷き、その後プレートコンパクターという機械で転圧するのが一般的です。(地盤の硬さによって砕石層を厚くすることもあります)
砕石層を平らに転圧してから、ワイヤーメッシュを敷き、スリットや伸縮目地の設置、マス調整などを終えてコンクリートを打ちます。
残土の処分費用は、基本的に面積×鋤取り深さでボリュームを計算しますが、現場の状況によっては、見積もりの段階で発生する残土の量を正確に計算することが難しい場合もあります。
そのような場合は残土処分費用を別途に設け、実際の作業が行われた後で精算、という流れになります。
菊池工業では、外構の土間打ち作業も自社スタッフで行えるよう、積極的に経験を積むよう心がけています。
近年では年間平均50棟前後の外構工事を手掛けており、職人たちの技術も向上してきました。
ですが、工事が立て込んで忙しくなりすぎる場合には、土間打ち作業だけ外注する場合もあります。
この建設業の業界には土間打ちの専門職(土間屋さん)というのがあります。
土間屋さんは日々の仕事が土間打ちなので、コンクリートを平らに均し、鏝で仕上げる技術に圧倒的な経験値を持っています。
土間屋さんが一人で担当できる面積は非常に広く、これはそうそう真似できるものではありません。仕上がりの丁寧さでは遜色ないように努力していますが、土間屋さんたちは工数を極限まで削減し、効率的に仕事をこなしています。
飲食業に例えるなら、菊池工業が洋食屋さんだとすると、土間屋さんはピザ専門店のような存在です。
そんな頼もしい土間屋さんに外注する場合でも、土間屋さんは土間打ち作業当日に、生コンを均して仕上げるだけが専門なので、事前の段取りまではこちらで準備しておく必要があるわけです。
この段取りというのがなかなか重要で、段取りがいい加減だとそのまま仕上がりに影響が出てしまいます。
経験から学んだことですが、土間打ちに限らず、どんな作業でも段取りが重要です。もし段取りが70点だと、その後の作業をどんなに丁寧にやっても最大で70点にしかなりません。
菊池工業ではこのような段取りの重要性や、考え方のポイントを若手の職人にも教育しています。
体を使った仕事なので、教えた瞬間に習得できるわけではありませんが、それぞれの作業の意味を失敗事例も交えながら伝えるようにしています。
ほとんどの場合、土間打ちは外構工事の終盤になります。
仕方なく土間屋さんにお願いする場合でも、それまでに作業した日数分、現場に対する思い入れが湧いてきます。
外注する場合は土間屋さんに対して失礼にならないよう、作業には手を出すことはできませんが、なるべく丁寧に仕上げていただけることを願いながら、見守る気持ちでいます。
(外注する場合でも土間打ち当日には、現場を担当する職人が土間屋さんへの説明や段取りのために必ず立ち会っています)